2010年1月7日木曜日

はぜの甘露煮

暮れに妹から小さな荷物が届いた。
「だんなが釣ってきたハゼで甘露煮を作ってみた、母の味と違うが・・・」と
母の作った甘露煮とはわずかに味が違うようだが、懐かしい室田家のおせち料理はぜの甘露煮を昔を思い浮かべながら少しずつ頂いた。

両親たちと同居していた頃(今から30から50年前の話)
釣り好きだった父が日曜のたびに釣ってきたハゼを母が火鉢で焼き、ざるに入れたハゼをかびぬようにベランダで干し続け、硬く乾燥したハゼをお茶のだし汁でことことひがな火鉢に掛け、立派な我が家定番の正月料理ハゼの甘露煮ができるのだった。

手を掛ける割に子供たちの評判はいまいちで、またかとうんざりという顔をしていたが、母に「頭を残してもいいから一匹食べなさい」とかいわれながらしぶしぶ食べていた。
本当のところ甘くて美味しかった、尻尾だけ食べてもよければ何匹でも食べれたのだが、大人たちは頭を残さず食べているのに自分だけ好きなところだけ食べることは出来なかった。
また、父のよく行っていた鶴見のハゼは深いところに棲んでいて、大物ぞろいで脂ののりもよく卵もびっしり詰まっていてこれ以上の材料は手に入らないというようなものだった。
大物は特に手を出しにくい、硬い目玉もあるグロテスクな頭が食欲を無くした。
たまに気が向くと大物一匹に挑戦することもあった、目玉が硬いだけで骨まで何のさわりもなくおいしく思うのだが、その頃はなぜか素直になれず、いまおもうと、作り手のことを考えもっと美味しく食べて上げられたら、母もうれしかったろうと思う。

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